○十島村文化財保護条例

昭和53年3月20日

条例第6号

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第98条第2項の規定に基づき、村の区域内に存する文化財の保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって郷土文化の向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「文化財」とは、次の各号に掲げるもので法及び鹿児島県文化財保護条例(昭和30年鹿児島県条例第48号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外のものをいう。

(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で村にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地、その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)

(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で村にとって、歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)

(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で村民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)

(4) 貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅、伝統的建造物、その他の遺跡で村にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で村にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然現象の生じている土地を含む。)で村にとって学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)

(財産権等の尊重及び他の公益との調整)

第3条 十島村教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

(文化財の指定等)

第4条 教育委員会は、村の区域内に存する文化財のうち、村にとって重要なものを、次の各号に掲げる区分により、それぞれ当該各号に定める村指定文化財(以下「村指定文化財」と総称する。)に指定することができる。

(1) 有形文化財 十島村指定有形文化財(以下「指定有形文化財」という。)

(2) 無形文化財 十島村指定無形文化財(以下「指定無形文化財」という。)

(3) 民俗文化財 十島村指定有形民俗文化財(以下「指定有形民俗文化財」という。)又は十島村指定無形民俗文化財(以下「指定無形民俗文化財」という。)

(4) 記念物 十島村指定史跡、十島村指定名勝又は十島村指定天然記念物(以下「指定史跡名勝天然記念物」と総称する。)

2 前項の規定による指定をしようとするときは、教育委員会は、あらかじめ指定しようとする有形文化財、有形の民俗文化財又は記念物の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。

3 教育委員会は、第1項の規定により無形文化財を指定無形文化財として指定しようとするときは、保持者又は保持団体(無形文化財を保持するものが主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

4 教育委員会は、第1項の規定による指定又は前項の規定による認定をしようとするときは、あらかじめ十島村文化財保護審議会に諮問しなければならない。

5 第1項の規定による指定及び第3項の規定による認定は、その旨を告示するとともに当該指定有形文化財、指定有形民俗文化財又は指定史跡名勝天然記念物(以下第6条から第8条まで及び第15条において「指定有形文化財等」という。)の所有者及び権原に基づく占有者並びに当該指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあってはその代表者)に通知してするものとする。

6 第1項の規定による指定及び第3項の規定による認定は、前項の規定による告示があった日からその効力を生ずる。

7 第1項の規定による指定及び第3項の規定による認定をしたときは、教育委員会は、当該指定有形文化財又は指定有形民俗文化財の所有者に指定書を、当該指定無形文化財の保持者又は保持団体の代表者に認定書を交付しなければならない。

8 教育委員会は、無形文化財を指定無形文化財として指定した後においても、指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。

9 前項の規定による追加認定には、第4項から第7項までの規定を準用する。

(文化財の指定の解除等)

第5条 村指定文化財が村指定文化財としての価値を失った場合その他特別な理由があるときは、教育委員会は、当該村指定文化財の指定を解除することができる。

2 指定無形文化財の保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合、その他特別な理由があるときは、教育委員会は、当該保持者又は保持団体の認定を解除することができる。

3 村指定文化財について法及び県条例の規定による文化財としての指定があったときは、当該村指定文化財の指定は、解除されたものとする。

4 指定無形文化財の保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、指定無形文化財の保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、当該指定無形文化財の指定は解除されたものとする。この場合には、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。

5 第1項の規定による指定の解除及び第2項の規定による認定の解除には、前条第4項から第6項までの規定を、第3項の規定による解除には前条第5項の規定を準用する。

6 前項の規定で準用する前条第5項の規定による通知を受けたものは、速やかに当該村指定文化財の指定書又は認定書を教育委員会に返付しなければならない。

(所有者の管理義務及び管理責任者)

第6条 指定有形文化財等の所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、当該指定有形文化財等を管理しなければならない。

2 指定有形文化財等の所有者は、特別の事情があるときは適当な者を自己に代り当該指定有形文化財等の管理に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)に選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、当該指定有形文化財等の所有者は、速やかに教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任したときも同様とする。

4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(所有者等の変更)

第7条 指定有形文化財等の所有者が変更したときは、新所有者は速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 指定有形文化財等の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、20日以内にその旨を教育委員会に届け出なければならない。

3 指定無形文化財の保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。指定無形文化財の保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であったもの)について、同様とする。

(滅失、損傷等の届出)

第8条 指定有形文化財等の全部又は一部が滅失し、若しくは損傷し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、指定有形文化財等の所有者(管理責任者がある場合は、そのもの)は、速やかに教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更)

第9条 指定有形文化財又は指定有形民俗文化財の所在の場所を変更しようとするときは、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会が定める場合は、この限りでない。

(現状変更等の制限)

第10条 指定有形文化財又は指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置をとる場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。

2 教育委員会は、前項の許可を与える場合は、その許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し、必要な指示をすることができる。

3 第1項の許可を受けたものが前項の許可の条件に従わなかったときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

4 第1項の許可を受けることができなかったことにより、又は第2項の許可の条件を付せられたことにより損失を受けた者に対しては、村はその通常生ずべき損失を補償する。

第11条 指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(修理の届出等)

第12条 指定有形文化財又は指定史跡名勝天然記念物を修理しようとするときは、所有者又は管理責任者は、あらかじめ教育委員会にその旨を届け出なければならない。ただし、教育委員会が定める場合は、この限りでない。

2 指定有形文化財又は指定史跡名勝天然記念物の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導と助言をすることができる。

(補助金の交付等)

第13条 村指定文化財の保存管理又は修理につき特に必要と認める場合は、村は予算の範囲内で所有者若しくは管理責任者又は保持者、保持団体若しくは保存に当たることを適当と認める者に対して補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合は、その補助の条件として保存、管理又は修理に関し、必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該保存管理又は修理について指揮監督することができる。

3 第1項の規定による補助金の交付を受けた者が、次の各号の一に該当するに至ったときは、村は当該補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることがある。

(1) 保存、管理又は修理に関し、この条例又はこの条例に基づく教育委員会規則に違反したとき。

(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。

(3) 前項の補助の条件に従わなかったとき。

(公開)

第14条 教育委員会は、指定有形文化財又は指定有形民俗文化財の所有者に対し、期間を限って、教育委員会の行う公開の用に供するため、当該指定有形文化財又は指定有形民俗文化財の出品を勧告することができる。

2 前項の規定により指定有形文化財又は指定有形民俗文化財が出品されたときは、教育委員会は、管理の責任者を定めなければならない。

3 教育委員会は、指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し、当該指定無形文化財の公開を、指定無形文化財又は指定無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。

4 第1項の規定により公開したことに起因して、当該指定有形文化財又は指定有形民俗文化財が滅失し、又は損傷したときは、村はその所有者に対し、その通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者又は管理責任者の責めに帰すべき理由によって滅失し、又は損傷した場合は、この限りでない。

(所有者変更による権利義務の承継)

第15条 指定有形文化財等の所有者が変更したときは、新所有者は、当該指定有形文化財等に関し、この条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。

2 前項の場合には、旧所有者は、当該指定有形文化財又は指定有形民俗文化財の引渡しと同時に、その指定書を新所有者に引き渡さなければならない。

(土地の所在等の異動の届出)

第16条 指定史跡名勝天然記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があったときは、当該土地の所有者又は管理責任者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(標識等の設置)

第17条 教育委員会は、村指定文化財の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。

(報告及び調査)

第18条 教育委員会は、必要があると認めるときは、村指定文化財の所有者又は管理責任者に対し、当該村指定文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求め、又は所有者の同意を得て、これを調査することができる。

(審査請求)

第19条 この条例に基づく教育委員会の処分に対して不服のある者は、教育委員会に対し審査請求をすることができる。

(罰則)

第20条 指定有形文化財を損壊し、廃棄し、又は隠匿した者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。

2 指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしてこれを滅失し、損傷し、又は衰亡するに至らしめた者は、2万円以下の罰金又は科料に処する。

3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員がその法人又は人の業務又は財産の管理に関して前2項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本項の刑を科する。

(委任)

第21条 この条例の施行に関し、必要な事項は教育委員会規則で定める。

1 この条例は、公布の日から施行する。

(平成28年条例第2号)

(施行期日)

1 この条例は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日(平成28年4月1日)から施行する。

(経過措置)

2 行政庁の処分その他の行為又は不作為についての不服申立てであってこの条例の施行前にされた行政庁の処分その他の行為又はこの条例の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。

十島村文化財保護条例

昭和53年3月20日 条例第6号

(平成28年4月1日施行)